お客さまに目を向ける

回想 Recollect

 巡回清掃業務というのは、館内や浴場の維持管理が主な仕事。

担当スタッフの目は床やマットの状態などに向きがちです。

それは当然のことなのですが、温浴施設は工場ではなくてサービス業。利用するお客さまに満足してもらってなんぼの商売ですから、作業に埋没し過ぎては本末転倒です。

巡回清掃中であっても、常にお客さまに目を向け、何か言いたげなお客さまがいたら歩み寄り、困っている様子なら声をかけたりできなければいけません。

しかし、それを考え方として説明しても、なかなかうまく伝わりません。そもそも「接客とか人と話すのは苦手なので、お風呂屋さんの仕事を選んだ」というスタッフもいるのが現実です。

この問題を改善するために、効果的な方法があります。

これも以前大阪のニュージャパンサウナで教わったことなのですが、浴室巡回しているスタッフに、その時の利用人数をカウントして表に記入させることを仕事にするのです。

○時にサウナ室にいた人数は○人、炭酸泉に浸かっていたのは○人、というようにデータをとらせるのです。

このデータは浴室アイテムの人気度や館内混雑状況を確認する指標にもなりますが、実はカウントする時にお客さまに目を向けざるを得ないというのが本当の狙い。

その際にサウナで体調の悪そうな人を見つけたりして、事故防止にもつながるのです。

お客さまに目を向ける仕組みを作るだけで、黙々と作業しているよりもスタッフの接客意識はずっと高くなるでしょう。

浴室だけでなく館内全体でこれをやることもできます。

男女別にカウントすれば、男性客と女性客それぞれの館内での滞在状況がわかり、満足度アップのためのヒントが見つかるかも知れません。

ひとつの空間にいるお客さまの人数をカウントして数字を記入するのはわずかな作業負担ですが、その効果はまさに一石二鳥ではないでしょうか。

(2019年5月15日執筆)

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