施術の前後

施術風景 回想 Recollect
施術台がズラリ並ぶSpaPlazaマッサージコーナー (2019年3月撮影)

 大阪のニュージャパンサウナと言えば、サウナの聖地とかロウリュ発祥の地といった面が語られることが多いのですが、他にもスゴイと思うところがたくさんあります。

特にSPAPLAZAという店舗は、入館料8,500円~でサウナ、あかすり、マッサージ、ラウンジ休憩までが一連のコースになっているという日本で唯一無二の業態です。そのすべてがハイクオリティで、もはや文化財と言っても良いくらい、誰にも真似することができないレベルなのです。

そのSPAPLAZAのマッサージを受ける時に、驚くべきことが起こります。

セラピストさんに案内されてマッサージベッドに横になると、身体にタオルをかけ、サウナで火照った頭には冷たいアイスノン、逆に水風呂や冷房で身体が冷えている人には腰や足に温熱パッド、そしてクリームでフェイシャルマッサージ、希望者には目薬までしながら、身体の不調箇所や施術に関する要望などを聞き出す会話があります。

そうやってひとしきり至れり尽くせりのおもてなしが続いて、コミュニケーションも充分にとり、優しく経擦をしながら、ようやく「それでは、これよりキング60分コースをはじめさせていただきます。」と耳元でささやいて施術が始まるのです。

これには心底ビックリします。もうとっくに有料のコースが始まっているんだろうと思い込んでいたからです。超お得感があります。

得した気分になるだけでなく、カウンセリングもしっかりできていますので、施術が的確になり、施術を受ける側も安心して身を委ねることができるのです。

さらに、マッサージの施術が終わると化粧コーナーに移動して「仕上げ」と呼ばれる頭皮マッサージと整髪。ここでもセラピストとの楽しい会話が続きます。

これらのことも、ロウリュ同様にこれまでいろいろな温浴施設でお伝えしてきたのですが、部分的に取り入れてもらえることはあっても、なかなか徹底的に実行するところは出てきません。

激安店の影響でボディケアの利用率が下がっていることに対して、技術の見直し、コースや価格設定の調整、販促の強化といった対策はしているのですが、コース前後の時間はそれほど重視されていないのではないでしょうか。

施術前にコース時間を確認する。セラピストが名前を名乗る。身体の不調箇所を確認してから施術に入る。力加減の要望を聞く。これらは施術にあたっての基本的なトークですが、それを事務的にこなすだけでは何の驚きも感激もありません。当たり前のことを、当たり前ではないレベルに変えた時に、お客さまの心が動くのです。

例えば、 あるセラピストの売上が月間50万円だったとします。10分1,000円とすると実際に施術している時間は5,000分=約83時間ですから、勤務時間のうち施術をしていない時間がまだ充分に残されています。月間21日出勤×8時間だったら168時間労働ですから、半分は空いている計算です。

もしボディケアの利用率が下がり、施術本数が減っているのだとしたら、施術していない時間はさらにたっぷりあるということです。価格を下げて稼働率を上げようという考え方がありますが、それがセラピストの疲弊やサービス品質の低下につながってしまうとしたら長期的に見て良い結果にはつながらないと思います。施術していない時間を、もっとおもてなしやコミュニケーションにあてるということもできるはずです。

そこでどんなことができるのでしょう。

お客さまに伝えるべきことは何なのか。

お客さまの何を知らなければいけないのか。

どんな時間を過ごしていただくのか。

新規とリピートのお客さまへの対応はどう違えるべきなのか。

激安店への対策を云々する以前に、まだできることがたくさんあります。

老舗が続けてきたサービス。見方を変えると、それを続けてきたからこそ老舗になるまで事業を存続できたということなのかも知れません。このような気づきは、いくら新しくてキレイな新規店を見ていても決して得られないと思います。

(2017年9月16日執筆)

天花粉の香りが漂う、「仕上げ室」と呼ばれた化粧コーナー。
ここでセラピストがヘッドマッサージしてくれます。
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