ニュージャパンイズム

回想 Recollect

 時が経つのは早いものです。

あれはまだ私が30代で、温浴業界で仕事をさせていただくようになったばかりの、まさに駆け出しの頃のことでした。

最近そんな昔の思い出話に花を咲かせる機会がありましたので、古い記憶をたどりながら当時のことを少し書いてみたいと思います。

 1999年頃に私が主催した温浴セミナーにご参加いただいたご縁で、大阪のニュージャパン観光の幹部の皆様とお会いする機会をいただけることになりました。

事前に店舗を拝見しておかなければと失礼であろうと、当時の腹心の部下、竹内宏之くん(現在は峩々温泉六代目社長)と共に、噂に名高い天下のニュージャパンサウナに突撃しました。

ニュージャパンサウナが立地するなんばは、東京で言えば新宿と池袋と渋谷がごちゃまぜになったような繁華街で、その中にでっかい屋上看板を掲げたニュージャパンビルがあります。

期待と不安にドキドキしながらエントランスをくぐると、どうやらひとつのビルの中に男性専用サウナが3店舗、女性専用サウナが1店舗あるらしいことが分かりました。それだけでびっくりです。

そしておそるおそる入ったのは1Fにフロントがある最も大衆的な価格の「カバーナ」。

しかし、価格は普通でも中身は普通ではありませんでした。

ロッカールームから浴室に向かう途中の冷蔵ケースに入った冷やしタオル使い放題や、入ると動線がいきなりサウナになっている浴室レイアウト、巨大な水風呂というよりもプールがあること、浴室からフロア続きで飲食エリアがあってそこでドリンクが飲めること…とにかくテーマパークに初めて入った子供のように驚きと感動の連続でした。

そして極めつけは高温サウナの中。

サウナマットは一人用のマットが山積みになっており、自分用のマットを敷いて座ります。使い終わったら回収ボックスに投げ込むという、なんとも清潔感があって贅沢なオペレーション。

そのサウナマットの交換補充作業をするスタッフを見ると、なんと、ビキニ姿の女の子だったのです!

ぅうおぉぉぉぉぉぉぉ!?なぜこんなところにビキニギャルが? (◎。◎)

竹ちゃんと目ん玉が飛び出そうになりながらその驚きと興奮を語り合ったのは今でも覚えています。

そして次の瞬間、二人の青年が考えたことは一緒でした。

「大衆的なカバーナでこんなスゴイことになっているということは、4FにあるVIPサウナとやらは一体どんなことに??
(☆。☆) キラーン!!

行ってみるべし!

「百聞は一見にしかず、一見は一体験にしかず。」などと理由をつけながら、いそいそとVIPサウナへ。

そこにはカバーナの何倍も楽しい楽園が!!と思いきや、VIPサウナとは渋~い大人のためのサウナだったでした。

「お客様、当店はそういう店ではございません。」

実際にそう言われたわけではないのですが、そういう幻聴が繰り返し聞こえてくるくらい事前に想像していた楽園とはギャップがありました。

とはいえ、入店からセラピストと1:1の接客を受け、アカスリとマッサージがセットになって、最高級のVIPサウナとはこういうものなのか!とそれはそれで感動する体験だったのでした。(その後VIPサウナは大改装を経てスパグランデという最高級スパへと生まれ変わりました。)

 この時、ニュージャパンサウナ初体験で受けたカルチャーショックが、以降の私の温浴コンサルティングの方向性を決定づけたと言ってもいいと思います。

そしてその後長い間顧問を務めさせていただき、ニュージャパンで学んだ温浴経営に対する考え方やノウハウは、今でも私の礎となっています。いくら感謝しても足りません。

業態が違っても、和風の温浴施設でも、大阪のニュージャパンイズムは形を変えて全国各地で脈々と息づいているのです。

(2014年6月3日執筆)

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