日本製サウナ

レディスサウナ巻きシーツ回想 Recollect
レディスサウナの巻きシーツ。 日本で唯一ここだけのサービスでした。

 日本では、1964年の東京オリンピックで選手村にサウナがつくられたことを契機に、全国にサウナが普及していきました。

そこから半世紀。これまでの日本のサウナはヨーロッパのサウナの模倣、言葉を選ばずに言うと劣化版コピーであったと思います。

「発汗するための熱い部屋」という程度の認識で作られてしまったサウナも多く、誰もが快適に楽しめるものではありませんでした。

特に湿度や水蒸気が果たす役割の重要性に対する認識が抜け落ちていて、カラカラに乾燥して室温100度を越えるような高温ドライサウナが主流となってしまったのです。

一方でスチームサウナやミストサウナもあるにはありましたが、これも温度とのバランスがとれていないため、あまり快適とは言えず定番化には至りませんでした。

その流れを変えたきっかけは、ロウリュの登場であったと思います。

大阪のニュージャパンサウナから始まったロウリュサービスの普及によって、サウナへの認識が変わっていったのです。

ロウリュでサウナストーンに水をかけると、サウナ室の環境はガラリと一変することが分かります。サウナとは温度計が示す室温だけでなく、湿度、水蒸気、換気、対流、輻射熱などの総合的な作用によって快適に身体を加温し発汗するものであることが、徐々に理解されて来たのです。

私もサウナ環境の改善やロウリュの普及をあおってきた一人ですが、明らかに潮目が変わったことを感じたのは数年前からです。特にこの2年くらいの変化のスピードにはちょっとビックリしています。

ロウリュサービス実施店舗が急増し、サウナを次々と取り上げるメディア、熱波師の登場、そしてもっと高品質なサウナ環境を提供しようと工夫する温浴施設。世の中全体から見ればささやかな変化かも知れませんが、ひとつの社会現象が起きるプロセスを実感しています。

 先日後楽園のSpa LaQuaに行った際に、サウナハットを持参してサウナ内で着用しました。角が生えたバイキングデザインだったので、居合わせた他のお客さんからは奇異の目で見られたり、逆に変な人と目を合わせないように避けられるのを感じましたが、これもデモンストレーションのひとつです。「あのサウナで被る帽子は何だ?」ということが話題に上れば、また社会現象が加速していくことでしょう。

ヨーロッパのサウナハットはフェルト製なのですが、その形状や素材についてはまだ改良の余地があるように思います。(研究中なのでご要望あればお知らせください)

前回の東京オリンピックから半世紀を経て、いつまでも劣化版コピーではいけません。いずれ世界を凌駕するメイドインジャパンのサウナ文化へと進化させたいものです。

(2017年11月2日執筆)

レディスサウナに設置されたサウナハット
(2019年3月撮影)
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