その昔、大阪のニュージャパン観光株式会社の中野佳則副社長(当時)からサウナや温浴についてたくさんのことを教えていただきました。そのひとつが「効果は気のせい」という話です。
いつもサウナ入浴の効果といった話をいろいろ聞かせてくれる中野副社長から「効果は気のせいなんですよ」と言われてかなり面食らったのですが、それはプラシーボ(偽薬)の話でした。
いまでこそ、wikipediaで調べれば、
「偽薬効果(ぎやくこうか)、プラシーボ効果(placebo effect)、プラセボ効果とは、偽薬を処方しても、薬だと信じ込む事によって何らかの改善がみられることを言う。この改善は自覚症状に留まらず、客観的に測定可能な状態の改善として現われることもある。」
といった情報もすぐに得られるようになりましたが、要するに精神状態と肉体の状態とは密接に連動していて、「〇〇に効果のある薬だ」と思って飲めば、ニセの薬であっても本当に身体にそのような影響が出るということです。
だとすれば、温浴の効果をしっかり理解して入浴することでその効果がより顕著に表れるようになるし、逆によく分からずに入浴していると、せっかくの効果が充分に発揮されないということもあるわけです。
あったまる~、癒される~♪といった漠然とした気持ちで入浴するもいいのですが、心身に何か不調のある人は、「血行が促進されて疲労物質が流れ去り、肩コリが治るのね」とか「ヒートショックプロテインで免疫力が高まり風邪が治るんだ」とか具体的に意識して入浴した方がその効果は高いということになります。
「気のせい」があるのだとすれば、その気にさせることが大切だということです。
医者の言うことや有名な製薬会社の薬には権威がありますから、誰もが信じてその気になりやすいと思います。
しかし、民間療法であったり、一介の風呂屋が言うことだと権威が足りませんから、簡単にその気にさせることは難しいかも知れません。
だとすると、どうやって伝えるのかはよく考えなくてはなりません。POP1枚貼っておけば済むようなことではなく、「いかにしてその気にさせるのか」を目的に、あらゆる情報発信の仕方や、コミュニケーションの取り方をしつこく工夫する必要があると思います。
(2017年9月8日執筆)