ロウリュと地域性

回想 Recollect
SpaPlaza露天にて、タオル仰ぎを練習中の筆者(2013年撮影)

 ロウリュ事典 https://loyly.jp/ に掲載されているロウリュサービス実施店舗を、GoogleMapの機能を使って地図にプロットしてみました。

サウナストーンに水をかけて水蒸気を発生させ、熱風を送るロウリュサービスは、2017年9月現在、日本全国で160箇所を超える施設に導入されています(現在ロウリュ事典未掲載の施設があり、確認更新作業中)。

その分布状況が初めて地図上で見れるようになったのですが、あらためて眺めてみると、北海道から沖縄まで普及していますが、その分布は東京・大阪・名古屋・福岡などの大都市圏に集中する傾向があるようです。

これはどうしてなのか?と考えてみました。

ロウリュ自体は有償サービスではないので、大きなマーケットを必要とする、といった法則性はないはずです。ロウリュを導入するのに田舎も都会もないはずなのに、実際地方に少ないのは何故なのでしょう。

ロウリュは大阪から始まった

 日本で最初にサービスとしてロウリュイベントを始めたのは大阪のニュージャパンサウナです。そこから現在のような普及状況に至るまでに20年以上の歳月がかかっています。これだけ時間がかかったのは、ロウリュを始めるためには水掛けが可能なサウナ設備が必要になると同時に、運営上の技術やスタッフの育成が必要であり、単なる設備アイテムの導入と違って勉強が必要だからです。

かつてはロウリュを導入してもらうために大阪のニュージャパンサウナに視察に行ってもらうのがパターンでした。まず経営トップに体験してもらってロウリュの価値を肌で理解してもらい、それからスタッフにも勉強してもらい、設備や道具などの準備も整ってはじめてスタートになります。そうなると、大阪へ何度も足を運ぶためにアクセスが良いところでないと難しいという事情がありました。

今はニュージャパン詣でをしなくてもロウリュを体験できるようになりましたので、今後は普及がさらに加速していくのではないかと考えています。

サウナ入浴者数

 ロウリュイベントをする時に、サウナ室にお客さまが1名、2名といった状態だとスタッフのモチベーションはガックリと下がります。1人を相手にしても10人を相手にしても、ロウリュサービスをする労力はあまり変わらず、汗だくのフラフラになるのは一緒だからです。

どうせシンドイ思いをするならたくさんのお客さまに喜んでもらいたいので、サウナの人気がない施設やサウナ室が小さい施設ではロウリュ導入を躊躇することになります。

しかし、地方であっても年間10万人、20万人といった客数を受け入れている温浴施設はたくさんあります。平日1日200人以上(=年間10万人)の客数があれば、1時間あたり男女それぞれ10人以上の同時入浴者がいるはずですから、○時からサウナ室でイベントをやりますよ~と告知すればそれなりに集まるはずです。

それにも関わらずこれまでロウリュが地方に普及しなかったのは、地方の方が良い温泉に恵まれていて、サウナよりも温泉浴槽の方に人気があり、浴場のつくり自体も浴槽重視になっていたためかも知れません。

昨今のサウナブームでサウナファンが増え、節水や省エネの狙いもあって、サウナ室の拡張や増設をするリニューアル手法が注目されています。ロウリュ導入の素地は整いつつあると言えるでしょう。

このように考えてみると、これからは大都市圏だけでなく、地方でもロウリュ導入の動きが活発化してくることが予想されます。全国で200施設を超える日は、そう遠くはないのかも知れません。

(2017年9月12日執筆。その後もロウリュ実施店は増え続けています。)

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