ロウリュの開催頻度

回想 Recollect
スパグランデの高温サウナ。セルフロウリュをいち早く導入(2004年撮影)

 メルマガ「日刊アクトパスニュース」読者の方からご質問をいただき、すぐにメールで回答したのですが、結構よく聞かれることなのでここに改めてまとめておきたいと思います。

サウナ入浴の時間は、そのサウナ室の環境や入る人の体調にもよりますが、普通の中温~高温サウナに健康な人が入るという前提で言えば、10分前後の加温時間が一般的だと思います。

そして汗を流して水風呂冷却まで1~2分。その後休憩(外気浴)を10分以上していると、すぐに20分~25分の時間は経ってしまいます。

休憩が一段落したタイミングでまたロウリュイベントが始まるなら、またサウナ室に行って一汗かくことになるでしょう。

そうやって数セットの加温→冷却→休憩を繰り返しているうちに、深いリラクゼーションと自律神経のリセット、いわゆる「ととのった」状態に至るのです。

ですので、理想的にはロウリュ開催頻度は30分に1回ということになります。

ところが、現在そのような高頻度でロウリュをやっているのは、大阪のニュージャパンサウナと神戸の神戸サウナ&スパくらいでしょうか。

今のところロウリュを開催する施設の大多数が1日に数回程度の開催頻度です。

開催頻度をなかなか上げることができない理由は、主にスタッフの負担と、サウナ設備の負担が挙げられます。

ロウリュイベントを本格的にやると、トークから水掛け、扇ぎで数分から十数分間はサウナ室で過酷な仕事をすることになります。

お客さんと違って、終わったらすぐに水風呂や休憩というわけにも行きません。

それを1日に何回やるの?と考えると、いくらお客さんが喜ぶことでも安易に開催頻度を上げられないのです。

しかし、これには解決法があります。

ロウリュというのはフィンランド語ですが、フィンランド式のロウリュには派手なパフォーマンスやタオルの扇ぎはありません。

フィンランドのサウナは営業施設よりも家庭用が多く、ロウリュは基本的にセルフで水掛けだけを行い、発生した蒸気が自然にサウナ室に充満してくるのを静かに楽しむのです。

浴場巡回のついでに、一言あいさつしてからサウナストーブに水を掛けてすぐに出てくるだけなら、スタッフの負担は軽いものとなります。30分や60分に一度くらいならできないこともないでしょう。

さらに、もう少し時代が進んで、ロウリュがどういうものか分かっているお客さんが増えてきたら、セルフロウリュに切り替えることも可能でしょう。現時点でも日本に数件のセルフロウリュOKの施設があります。

ドイツでは、サウナストーブへの水掛けはアウフグースと呼ばれ、興味深いトークや見ていても楽しいタオルパフォーマンスなど、一大イベントへと発展しています。日本で現在主流となっているのはドイツスタイルです(本場のパフォーマンスレベルにはまだ及びませんが)。

サウナファンを増やし集客につなげるためには、イベントとして盛り上げた方が効果的だとは思いますが、毎回ドイツ式でやるのでは大変ですから、フィンランド式とドイツ式を組み合わせて運営負担とのバランスを調整すれば良いと思います。

もうひとつ、サウナ設備への負担という問題がありますが、これはサウナストーブの機械部分に水がかかってしまうかどうかで変わってきます。

短時間に連続してロウリュをやると、サウナストーンが十分に熱くなっていないために水がすぐに蒸発せず下まで落ちていく可能性が高くなります。そして機械部分に水がかかると故障のおそれがあるのです。

これを防ぐためには、ストーブに積むサウナストーンの量を増やしたり、内部に水が入らないような仕切りを入れる改造をするなどの方法があります。

また、サウナ室の加温用ストーブと水かけ用のストーブを別々に分けダブルストーブとする方法もあります。

いずれにしても技術的には解決できることですので、ストーブの問題でロウリュの開催頻度アップを諦める必要はありません。

(2016年9月8日執筆)

30分毎にロウリュ開催のSPAPLAZAストーンサウナ
(2013年撮影)
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